史上最悪の人災・チェルノブイリ原発事故の緊迫の5時間を描くドラマ。政府の非人道的な慣行と、災害の危険性を軽視し、多くの命が犠牲になった未曾有の原発事故の真実が明らかに。廃炉となった原発で撮影した映像がリアリティを高めている。1986年4月26日未明、旧ソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所で大規模な爆発事故が発生。放射性物質はベラルーシやロシアばかりか、遠く離れた西ヨーロッパまで飛散する。人々は大混乱に陥り、その後何カ月にもわたって尊い人命が失われ続ける。 監督は『ウォーキング・デッド』のヨハン・レンク。『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』のジャレッド・ハリス、ステラン・スカルスガルドらが共演。（出典：Amazonプライム）
「チェルノブイリ（原題：Chernobyl）」は、2019年5月にアメリカのHBOで制作・放送された全5回のテレビドラマです。
1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故で、事故を隠蔽しようとするソビエト政府や、被害拡大を抑えようと奔走した人々がドラマが描かれています。
2019年、第71回エミー賞で作品賞を含む、10部門の受賞が決定。
制作は「ゲーム・オブ・スローンズ」のHBO。監督は「ウォーキング・デッド」、「ブレイキング・バッド」のヨハン・レンク。海外ドラマ史上最高評価を監督しているほか、日本のレビューサイト、SNS等で絶賛の嵐。海外ドラマ史上最高傑作にして最大の問題作と言われています。
チェルノブイリは今も老朽化した石棺をさらに新しい囲いで覆われているものの耐用年数は100年と言われています。過去に起きた最大の原子力発電所の事故がどんなものだったのか？
チェルノブイリのドキュメンタリーはNHKなどでも放映されていたため、なんとなくチェルノブイリの事件を知っている人も多いとは思いますが、どういった経緯で今の現状にいたっているのか？原子力発電で起こる事故の怖さを物語るドラマになっています。
日本でも志賀原子力発電所臨界事故、東海村jco臨界事故といった事故が起こり、東日本大震災で今も福島で冷却のための汚染水問題がありいつ収束するのか？わからない状態が続いていて原子力発電所の事故は他人事では有りません。
改めて原子力発電の仕組みや危険、事故が起こったときの悲惨さ、人体への影響をこのチェルノブイリのドラマを見ることでより理解を深められると思います。
放射能にさらされてしまった人体がどのような経過をえて、皮膚や臓器を溶かしてしまうのか？どんな悲惨で残酷な死に方になってしまうのか？という描写もリアルに描かれており、急務で事故の処理に当たる人柱となる人々をみるだけで苦しくなります。避難区域に取り残されたペットや動物の殺処分も心が痛みます。
逃げたくなる状況で精神的に追い詰められても、国や家族、世界のために死を選ぶというのはどのような精神状態なのだろう。
現場の人間や目に見えない放射能、放射性物質の恐怖を知る人と離れたところで国のメンツやプライドを優先させて必要な情報を隠蔽しようとする人。現場で命を秒単位で削る人員を選び、仕事をさせる重たい命令をくださなくてはいけない辛さ。
政府と現場の人間との憤りなど、心理的、感情的な描写が俳優さんたちの演技力も有り迫力があります。これからの世界のために真実を追う、原因を調べるといった主人公の博士の倫理観と葛藤も見どころ。
ウォーキング・デッドの監督が関わっているだけあって、グロテスクな描写もあり、子供には見せられない内容です。大人の私でも夢に出てくるほど。子供だったら怖くて眠れなくなります。
ウォーキング・デッドは実話ではないのでエンタメとして楽しめるホラーですが、チェルノブイリは実際にあったことなので、心が苦しくなります。
有無を言わさず、放射能にさらされる仕事を命じられる大勢の人々がなんの保証も報酬もなく、命を秒単位で半分に削られる。いたたまれない気持ちになるシーンが多いのですが、『なぜ事故が起こってしまったのか？』どうやって石棺をつくったのか？の原因や経緯を追っていくストーリーは重たいながらも次のストーリーが気になる面白さがあります。
戦争や事故、震災もそうですが、『なぜ、この人がこんな死に方をしなくてはならなかったのか？』、『なぜこんなひどい目にあわなくてはならなかったのか？』答えのない問いは関わった人は一生消えないですし、なぜ？と否応無しにずっと考えてしまいますよね。
チェルノブイリの事故によって避難した何万人者人、癌になってしまったり、精神的におかしくなってしまった人、後遺症で苦しむ人がどれほどいたのか？明確な人数はわかりませんが、痛ましい事故であり、恐ろしい事件だと思いました。
『広島原発の〇〇倍といった放射能』というセリフが何度もでてきますが、広島の原爆と発電所の事故による放射性物質の広がりの違いや福島の原発との違いなども、この映画をみると理解が深まると思います。
西洋人が福島の原発の爆発があったときになぜあんなにパニックになるほど恐れたか？多くの在日外国人が帰国したか？も納得です。
チェルノブイリのときに旧ソ連が事実を隠していたように、政府が事実を話さないというのも、隠蔽したりするであろうという考えはチェルノブイリ事件の経験を踏まえたら当たり前に思うことです。
何らかの予期せぬ事故があったらと思うと恐ろしいです。
チェルノブイリの最終話5話の最後には実際の登場人物やその後の生存などについても語られています。事実をもとにした重たい話ながらも人としての倫理観や正義を貫いた主人公の生き様や関わった人たちのドラマとしても大変興味深く見れる作品です。
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